HOTE KARA GO! 仙台
2008年
02月28日
(木曜日)
クリーミースプレッド誕生物語('08.3月号)

チーズは大別すると、牛乳を乳酸発酵させたナチュラルチーズと、ナチュラルチーズを加熱処理したプロセスチーズがある。
蔵王山麓にある財団法人蔵王酪農センターが「ナチュラルチーズ実験製造工場」を建設したのは1980年。同センターの菅井啓二さんは、「80〜81年は全国的に牛乳が生産過剰になったとき。全国の酪農家を守るために工場を建て、国産のナチュラルチーズの開発に取り組みました」と説明する。
81年に「クリームチーズ」が誕生。今や一般家庭で、ジャムやバターのように気軽に食べられているが、当時は業務用で使われるのがほとんどだったいう。そのため、家庭用に150gと小さめのサイズで販売したが、「見向きもされなかった」と菅井さんは苦笑する。
そこで、「より気軽に食べられるものを」と、クリームチーズをベースに、レアチーズケーキのようなものを作ったが「完全な失敗作」。「何度挑戦しても固まらないんです。クリームチーズは衛生管理、安定供給、品質維持のため機械製造。レアチーズケーキも既存の機械で作ろうとしたことが、失敗した原因の一つだったと思います」(菅井さん)。
そんな中、「塗るタイプにしては」という提案を受け、“失敗作”を改良。軟らかくてもおいしいチーズのデザート「クリーミースプレッド」が完成した。これは現在、「クリーミースプレッド バニラ」の名称で親しまれている。
以後、果物などのフレーバーを加えて、姉妹品を続々開発。カレーやブラックペッパーなど、売れ行きが芳しくなく生産終了になった味もあり、現在はブルーベリー、ストロベリーをはじめ9種類で展開している。菅井さんは「焼いたフランスパンに塗るとおいしい。孫はスプーンですくって、そのまま食べるのが好き」とにっこり。
クリーミースプレッドは現在、一般家庭での消費がほとんど。クリームチーズは約7割が業務用だが、開発当時に比べれば個人客の利用が増えた。
工場では他に、乳酸ドリンク「ザオーホワイト」やスモークチーズ、ペッパーゴーダ、フレッシュモザレラチーズなど、蔵王山麓の乳牛のミルクを原料にした多彩なチーズ製品を製造している。
財団法人蔵王酪農センター
- 所在地
- 蔵王町遠刈田温泉字七日原251-4
- 問い合わせ
- 0224-34-3311
- クリーミースプレッド

-
- バニラ
- ブルーベリー
- ストロベリー
- さくらんぼ
- オレンジ
- ラフランス
- マロン
- オニオン&パプリカ
- ガーリック
- 主な取扱店舗
- 蔵王酪農センター、JR仙台駅構内、藤崎仙台、さくら野百貨店仙台店など
2007年
11月27日
(火曜日)
晒(さらし)よし飴誕生物語〜不思議な伝統あめ菓子〜('07.12月号)
絹糸を束ねたような上品なあめ菓子は、宮城県南・大河原町の老舗菓子店「市場家(いちばや)」の伝統銘菓。そっと手に取ってかじってみる。パリパリ、サクサク。甘さを感じた瞬間、たちまち雪のように溶けてしまう。これまで味わったどんなあめとも違う、なんとも不思議な口当たり。断面はハチの巣状の空洞になっており、この空気を含んだ穴が繊細な食感を生み出す。
熱や湿度に弱いため9月下旬から5月までの期間限定販売。「雪が降るころになると思い出す」と言われ、冬を連想させる雅(みやび)な菓子として知られている。
一般的に晒し飴(さらしあめ)と呼ばれるものは、水あめと白砂糖を煮詰めて冷やし、空気を含ませながら練り込んでいく。すると白い、やや柔らかいあめが出来上がる。
「晒よし飴」の場合は、ここからさらに職人が4人1組となって引き伸ばす独特の技法で作られる。あめ菓子だけに周辺の温度や湿度の影響を受けやすく、人の行き来するささいな風圧でも割れてしまうほどもろい。気を張りつめながらの作業だが、なぜ4人1組なのか、なぜ断面が空洞になるのかは企業秘密とされている。
製造元の市場家は1695(元禄7)年創業。本家は現在の角田市(大河原町の隣町)に始まり、仙台藩主・伊達家の家臣で、角田に居城を構えていた臥牛(がぎゅう)城主・石川家の御用菓子屋を務めていた。
「晒よし飴」は、市場家先祖が当時城の南にあった大沼のほとりに積み重なるヨシ(葦=イネ科の多年草。水辺に自生し、高さ2メートルに達する。アシともいう)を見て、ヒントを得たといわれる。以来、一子相伝の技術として受け継がれてきたが、大正時代に本家が2度の大火に遭遇。お家再興が困難となり、大河原町の分家が後を継いで今に至る。
高級感があり、見舞い物や歳暮などの贈答用に重宝されている。缶の中にはしけりと破損を防ぐためにらくがん粉が敷き詰められており、そのまま置いておくと日が経つにつれてよりサクサクとおいしくなる。お茶やコーヒー、紅茶などと合わせていただくといい。
元祖 晒よし飴本舗 市場家(いちばや)

- 所在地
- 宮城県柴田郡大河原町字町251
- 営業時間
- 7:00〜19:00
- 元旦除き無休
- 問い合わせ・注文
- TEL0224-52-1258(FAX兼)
- 公式ウェブサイト
- http://www.sarashiyoshiame.jp/
- (FAX申込書の印刷可、オンラインショッピング可)
- 商品
- 150g缶(約55枚入り)2100円〜400g缶(約150枚入り)4567円。プラスチック製容器入りも取り扱う
※地方発送可
2007年
10月27日
(土曜日)
仙台麩誕生物語〜県北産の名脇役〜('07.11月号)

麩(ふ)には生麩、焼き麩、揚げ麩(油麩)などの種類があり、生麩は京都や金沢、焼き麩は新潟、揚げ麩は宮城県の伝統食材として有名だ。煮物や汁物、鍋物などに入れて使うことが多い。
原料は小麦粉に含まれるタンパク質(グルテン)。低カロリー・高タンパク、かつアミノ酸の一種で脳のエネルギーになるグルタミン酸が多く含まれるため、近年はヘルシー食品として人気がある。
中国から伝わり、日本には、諸説あるが鎌倉時代にはすでに伝わっていたと考えられている。仙台地方においては油で揚げる風習が庶民に浸透し、揚げ麩は栄養価の高い食品として、保存食として重宝されてきた。特に盆の時期に出される精進料理によく用いられたという。
現在、郷土の特産品として作られている地域は宮城県北・登米市の4地域(津山・登米・中田・迫)。地元メーカー約5社のうち最大手が山形屋商店であり、看板商品「仙台麩(あぶら麩)」は東北をはじめ全国の主な量販店で販売されている。
登米市の4地域では古くから棒状の油麩が作られてきた。各メーカーごとに使用する原料や油、生地の製法、食感などに特徴があり、山形屋商店では生麩の状態に、成形と油の染み込みを良くするための切り込みを入れながら、上質な大豆油で表面をカリッと揚げる。汁気を吸った時のもちっとした弾力と、中のふわふわとした食感が持ち味だ。
煮物や汁物と一緒に煮れば味に深みが出る。だから、つい肉を買い忘れてしまった時などはちょっとした肉代わりにもなってしまう。


そんな便利な油麩だが、現代では若者離れが進んでいるという。一因として、麩は使用前に水で戻さなければならないなど手間取るイメージがあるからだが、油麩なら好みの厚さにカットしてそのまま鍋に入れればいい。
手軽なうえ、日持ちもする。土産や贈答品にもお薦めしたい。「仙台麩」はスーパー、小売店、土産物店などのほか、山形屋商店の電話やオンラインショップ、ファクスでも注文を受け付けている。
株式会社山形屋商店
- 所在地
- 登米市津山町柳津字町16
- 注文・問い合わせ
- 0225-68-2066(土・日・祝休み)
- FAX 0225-68-3066
- 公式サイト
- http://sendaifu.jp/
- 商品
- 「仙台麩」2本入り(大)367円、2本入り(小)231円など
2007年
09月29日
(土曜日)
ひょうたん揚げ誕生秘話〜カマボコ店のロングセラー〜('07.10月号)

青葉区中央二丁目のクリスロード商店街に、くし揚げを手に持って群れる人たちがいる。老若男女が人目もはばからずかぶりつくものは、阿部蒲鉾店中央店の名物「ひょうたん揚げ」だ。
ぽっこりとした2個の玉をくしに刺した揚げ物で、店先で買って、その場で食べて行くのが定番になっている。
ふっくらとした衣の中には、スケソウダラなどの白身魚を蒸して丸めたカマボコ。アメリカンドッグ風にケチャップを付けて食べる、おやつ感覚の1本だ。
誕生は1985(昭和60)年、今では仙台三大祭りの一つになっている「仙台・青葉まつり」の復活にちなむ。
阿部蒲鉾店が青葉まつりに出店するために、遊び心で新しい何かを作ってみようとなったのがきっかけ。祭りを楽しみながら手に持って食べられるものを、また子どもから大人まで食べられるものをと考案された。子どもたちに幼いころからカマボコに親しんでもらいたいという願いもあった。
試行錯誤の末、生まれた揚げ物はその形から「ひょうたん揚げ」と命名された。その後もイベントに合わせてたびたび販売していたが、ファンのリクエストに応え、ようやく10年前に中央店の一角に常設販売コーナーを設けた。クリスロード商店街を行き交う学生や女性を中心に、評判は口コミで徐々に広まった。今では、休日になると行列ができるほど人気のおやつとなっている。
思いのほか技術を要するのが、2個とも衣をバランス良く、丸い形に揚げることだという。柔らかい衣の生地をカマボコのすり身につけ、低温の油で形を整えながら、最後は高温でカリッと揚げる。衣の量が多くても、少なくても、あの見事なひょうたん形は作れない。すり身と衣の間にすき間ができてしまうこともある。腕と勘が必要になってくるところが、手作りならではと言えるだろう。
1本100円。当たりが出ればもう1本。揚げたてをその場で食べられるほか、店内奥の「お休み処」に座って食べることもできる。持ち帰った場合はオーブントースターで温めるとなおおいしい。
店舗情報・阿部蒲鉾店(阿部かま中央店)

- 住所
- 仙台市青葉区中央2-3-18(クリスロード商店街西側角)
- 問い合わせ
- TEL022-221-7121
- 阿倍蒲鉾店公式サイト
- https://www.abekama.co.jp/
2007年
07月25日
(水曜日)
喜久福(きくふく)誕生物語〜仙台発「食べるお茶」〜('07.8月号)

仙台初売りのお茶箱で有名な「井ヶ田製茶株式会社」は、1920(大正9)年に創業した老舗。創業以来、茶の製造・販売を行ってきたが、「飲むお茶」に加え、次第に「食べるお茶」の提案も試みるようになった。そこで取り組んだのが、抹茶菓子の開発だ。
第一弾は抹茶ソフト。93年に一番町本店で販売し、当初からヒット商品となり、仙台七夕や初売りでは行列ができたほど。
続く、抹茶生クリームを挟んだどら焼き「どら茶(ちゃ)ん」も発売間もなくブレークした。
96年には第三弾「抹茶の大福」を発表。大福に抹茶をまぶしたもので、実はこれが現在の看板商品「喜久福」の原形。だが売れ行きは思わしくなく、製造はあえなく中止。そこで、抹茶を外側ではなく、中に使うという発想に切り替え、抹茶生クリームをあんともちで包むという工夫を凝らした。また、本格販売に先駆けてモニター会を実施。約3000人の声を味や価格に反映させ、98年に世に出した。
喜久福は発売当初から「即ヒット」とはいかなかったが、口コミを中心に評判を広め、マスコミで取り上げられ、じわじわと知名度を高めていった。看板商品となったのは意外にも、ここ2、3年のこと。
喜久福は全3種類。一番人気はやはり、「抹茶クリーム」。香り豊かで深い味わいの宇治の抹茶入り生クリームを、なめらかなこしあんと、宮城県産「みやこがね」使用のやらかいもちで包んだ。「仙台土産に」と考案された「ずんだ生クリーム」は、山形県鶴岡産のだだちゃ豆入りずんだあんと生クリームが絶妙にマッチ。「生クリーム」は生クリームとこしあん入りだ。価格は1個95円。
冷凍販売されている喜久福は、冷蔵庫で半解凍させて食べる。夏なら解凍は少しに留め、アイス感覚で食べてもいい。ひんやりとした食感がとてもおいしい。
今野順子常務は「ペットボトル全盛ですが、日常生活でお茶を入れるという行為をなくしてほしくない。そのためにも、子どものころからお茶の味に慣れ親しんでほしい」と話す。そんな思いから生まれているのが、喜久福をはじめとした数々の「食べるお茶」だ。
取材協力/井ヶ田製茶株式会社
- 問い合わせ
- 0120-014-123
- (9:00〜18:00、日曜・祝日は〜17:00)
- 本社
-
- 住所
- 仙台市青葉区大町2-7-23
- 問い合わせ
- 022-224-1371
- 一番町本店
- 住所
- 仙台市青葉区一番町3-8-11
- 問い合わせ
- 022-261-1351
- 価格
- 1個95円、箱詰め6個入り630円〜
- 取扱店
- 一番町本店、仙台駅、仙台空港、仙台三越ほか







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